【原発の不都合な真実】インタビュー企画 第5回

「法律で再生可能エネルギー電力の全量買い取りと送電優先化を義務付け、投資家も安心できる環境をつくる。それは子どもたちや次世代に対する貴重な投資でもある」

-シルビア・コッティングウールさん



http://www.47news.jp/47topics/e/220827.php


―福島第1原発の事故をどうみるか。

 「5月に日本の市民団体などの招待で福島県飯舘村などにも行き、原発事故の悲惨さを体感した。飯舘村の村長が『東京電力には何も期待できない』と話していたのが印象的で、彼らの苦労は痛恨の極みだ」

 ―事故からどんな教訓を得るべきか。

 「技術力が高い日本のような国でも自国の原発の安全を保てなかった。原発のリスクは巨大で、すべての国はこれを深刻に受け止めなければならない。大規模な放射性物質の汚染を伴うような大事故が起こったら、どんな国であってもきちんとした対応はできないだろうと実感した」




―脱原発で減少する電力供給をどう補うことができるだろうか。

 「原発の電力を補うのは再生可能エネルギーだ。2000年に緑の党が連立内閣に加わった時に脱原発と対になるものとして、再生可能エネルギー開発を強力に進めるための新たな法的な枠組みをつくった。再生可能エネルギーの電力の全量買い取りを電力会社に義務付け、その電力を送電の際に優先することを義務化するのが主な内容で、この結果、太陽光や風力の発電が急拡大した」

 ―再生可能エネルギーの買い取り制度の意義は。

 「再生可能エネルギーに対し、投資家が安心して投資できるようになる環境をこの法律がつくり出した。事業への投資は、市民や州政府などの地方自治体が主体だったが、最近では電力会社の投資も拡大している。ドイツでは、大規模集中型の電力供給から、小規模分散型へのシフトが起こっている。再生可能エネルギーの拡大は脱原発と結び付いたもので、脱原発はエネルギーシフトを実現するための条件だ」

 ―ドイツでは電力の安定供給に問題はなかったのか。

 「現在、ドイツの電力供給の18%は再生可能エネルギーだが、大きな問題は起こっておらず、まだ拡大の余地はある。アルミ製造などの電力多消費型産業から、安定供給への不安の声は出たが、彼らも積極的に議論に参加し、自らどんな貢献ができるかを検討した。結果的に風力発電や太陽光発電産業が成長し、関連機器製造のためアルミの需要が増えるなど、業界への利益もあった」

 ―日本のエネルギー政策への提言を。

 「日本にはドイツを上回る日照や水資源があり、風力資源も豊かな上、ハイテク産業もある。海洋エネルギーの潜在力も大きい。静岡県の浜岡地区の海岸には、巨大な防潮堤よりも風力発電基地や海洋エネルギー基地の方がふさわしい。エネルギー政策を決める上では、市民の意見をきちんと取り込むことが大切なことをドイツの経験が示している。脱原発と再生可能エネルギーへの投資は、子供たちや次世代の安全とエネルギー安全保障に対する貴重な投資だと考えるべきだ」(聞き手・井田徹治)

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 シルビア・コッティングウール 1952年、ドイツ・カールスルーエ生まれ。緑の党の運動にかかわり、2005年に連邦議会議員に初当選。気候変動問題や原子力、エネルギー問題に取り組む。
by Addionuke | 2011-09-18 12:22 | 関連ニュース
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